スポーツ障害に再生医療は効くのか?早期回復を目指す最新治療の現状
スポーツを楽しんでいる際、膝や肩などを痛めてしまうことは珍しくありません。多くの場合は安静にすることで自然に回復しますが、重症化すると手術を余儀なくされるケースもあります。スポーツ障害では筋肉や関節、骨、靭帯、腱などが損傷を受けやすく、特に「腱」の損傷は慢性化しやすいため大きな問題となります。こうした難治性のスポーツ障害に対し、体への負担が少ない低侵襲な治療として、そして早期の競技復帰を狙う選択肢として、近年「再生医療」が積極的に導入されるようになっています。
スポーツ医療の現場で最も普及している「PRP治療」とは?
再生医療には幹細胞治療、上清液治療、エクソソーム治療など様々なアプローチがありますが、現在のスポーツ障害治療において最も広く使われているのがPRP(多血小板血漿)治療です。PRPとは「Platelet-Rich Plasma」の略で、患者様ご自身の血液から血小板を濃縮して作られる液体です。血小板には出血を止める役割だけでなく、組織の修復を促す成長因子や様々なサイトカインを豊富に放出する特性があります。これにより、体内の炎症環境をコントロールし、傷ついた組織の修復反応を強力にバックアップすることが期待されています。なお、PRP治療は安全性を担保するため、厚生労働省に「再生医療等提供計画書」を提出し、受理されている医療機関でのみ受けることができます。
トップアスリートの選択に見る再生医療の可能性と限界
「手術を避けて復帰を目指す」選択肢としての再生医療
スポーツ障害における再生医療の存在を広く知らしめたのが、メジャーリーグ(MLB)で活躍するトップアスリートたちの事例です。なかでも田中将大投手と大谷翔平選手の選択は、再生医療の効果と判断の難しさを象徴する例としてよく挙げられます。
田中将大投手の事例(部分損傷への成功例)
2014年に右ひじ靭帯の部分損傷が発覚した際、手術を回避するためにPRP注射を選択しました。治療後、約2か月でマウンドへの復帰を果たし、PRP治療によって手術を回避できた代表的な成功例と言われています。
大谷翔平選手の事例(重症度による手術判断)
2018年に右ひじの中等度靭帯損傷と診断され、PRP注射と幹細胞治療を受けました。一度は打者として復帰したものの、最終的には同年9月にトミー・ジョン手術を決断。その後、2023年にも再手術を経て、現在は投打ともに驚異的な大活躍を見せています。
これらの事例が示す通り、PRPや幹細胞治療は十分に復帰を目指せる画期的な選択肢ですが、組織が「完全断裂」に至っている場合は修復が難しく、最終的には手術の判断が必要になることがあります。再生医療は、従来の保存療法と手術療法の中間に位置する治療法と言えます。
PRP治療が適応となる主なスポーツ障害
- ● 対応できる主な疾患・部位変形性膝関節症をはじめ、足底筋膜炎、アキレス腱炎、膝の膝蓋腱炎、テニス肘、ゴルフ肘、腱板損傷、ハムストリング付着部炎症といった、各種筋膜炎、腱障害、靭帯損傷に対して広く用いられています。
- ● 急性期から慢性期まで併用も可能ケガをしてすぐの急性期から、長引く慢性期の痛みまでいずれのステージでも使用可能です。症状や目的に応じて、幹細胞治療やエクソソーム治療を併用して相乗効果を狙うこともできます。
ステロイド注射との違いと治療のスケジュール
痛みを抑える手段として一般的な「ステロイド注射」は、短期的には高い効果を発揮するものの、何度も繰り返すと周囲の組織が脆くなるなどの副作用リスクが懸念されます。一方、PRP治療は以下のような特徴を持っています。
- ● 効果を実感するまでに2〜4週間ほど時間がかかる(じわじわと修復を促すため)
- ● 通常、2〜4週間の間隔をあけて「3回を1クール」として投与するのが一般的
- ● 現在の日本の医療制度においては公的保険が適用されず、「自由診療」となる
よくある質問
PRP治療に安全上のリスクやアレルギーの心配はありませんか?
PRP治療は患者様ご自身の血液のみを用いて製造するため、拒絶反応やアレルギー反応を起こすリスクはほぼ皆無です。ごく稀に注射に伴う血腫や関節炎などの感染症リスクは言われていますが、通常の適切な治療プロセスにおいてはほとんど心配ありません。
1回の注射ですぐにスポーツに復帰できるようになりますか?
ステロイド注射のような即効性とは異なり、自身の組織修復を促すため効果が出るまでに2〜4週間程度を要します。また、十分な治療効果を得るためには1回きりではなく、3回程度を1クールとして継続的に投与を行うことが推奨されています。
完全に切れてしまった靭帯や腱もPRP治療で治せますか?
残念ながら、PRP治療は完全に断裂してしまった腱や靭帯を元の状態につなぎ合わせて修復できる魔法の治療法ではありません。あくまで部分的な損傷や慢性的な炎症に対して、自己治癒力を高める「保存治療と手術治療の中間」にあたる位置づけの選択肢となります。
あわせて読みたいコラム
access 診療時間・アクセス
診療案内
- 診療科目
- 美容皮膚科、美容形成、形成外科、再生医療
- 診療時間
- 10:00-13:00、14:00-19:00
(完全予約制) - 休診日
- 火曜日、木曜日、不定休
※最終受付時間は30分前になります。
| 診療科目 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 10:00-13:00 | ○ | × | ○ | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 14:00-19:00 | ○ | × | ○ | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
担当医
| 担当医 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 新里 | 休診 | 吉井※ 石川 |
休診 | 新里 | 朴※ 山田※ |
※不定期
アクセス
〒150-0002
東京都渋谷区渋谷1-23-18渋谷ワールドイーストビル10階
JR渋谷駅から徒歩4分