鎮痛剤の使い分けについて
日常のなかで熱が出たときや、頭痛、腰痛、歯の痛みなどを感じたとき、多くの方が「痛み止め(鎮痛剤)」を内服すると思います。そのなかでも代表的な飲み薬として挙げられるのが「ロキソニン」と「カロナール」です。今回は、この身近な2つのお薬について詳しく説明します。
現在広く使われているような飲み薬の鎮痛剤が開発されたのは、1950年代以降のことです。それ以前の時代における鎮痛剤といえば、柳の樹皮や、芍薬甘草湯をはじめとする漢方薬、アヘンなどが用いられていました。また、薬以外の鎮痛治療としては、安静を保つことやハリ灸、温泉療法などが主流でした。
現代の医療における飲み薬の鎮痛剤は、大きく次の3つの種類に分類されます。
- ● アセトアミノフェン(カロナール®など)
- ● NSAIDs:非ステロイド性抗炎症薬(ロキソニン®、セレコキシブ®、イブプロフェン®など)
- ● 麻薬(モルヒネ、コデインなど)
このうち「アセトアミノフェン」と「NSAIDs」の多くは、市販薬として薬局やドラッグストアでも購入することが可能です。ここからは、ロキソニンとカロナールの「作用機序」「効果的なケース」「副作用」「実際の使い分け」について解説していきます。
ロキソニンとカロナールの作用機序と特徴
ロキソニン(NSAIDsの一種)
非ステロイド系鎮痛剤の1種です。体内で痛みの原因となる「プロスタグランジン」の合成を抑制することで、強い鎮痛効果、抗炎症作用、および解熱作用を発揮します。
カロナール(アセトアミノフェン)
脳にある中枢神経などに働きかけることで、主に解熱作用をもたらします。マイルドな鎮痛作用は持っていますが、ロキソニンのように炎症を抑える「抗炎症作用」はほとんどありません。
【服用時のポイント】
両方のお薬ともに、内服してから約30分ほどで効きはじめ、4〜6時間ほど効果が持続します。痛みが強いときなどに「頓服(とんぷく)」としてその都度飲む方法でも効果はありますが、つらい痛みが続く場合は1日3回、食後に規則正しく服用するのが良いでしょう。
どのようなケースで効果的か?
お薬の特性が異なるため、それぞれ以下のような症状に対して効果的です。
- ● ロキソニンが効果的なケース:痛みが強く、炎症を伴っているとき。具体的には、歯痛、関節炎、腰痛、手術後の疼痛、上気道炎(風邪ののどの痛みなど)に高い効果を発揮します。
- ● カロナールが効果的なケース:発熱や、炎症をあまり伴わない痛みのとき。上気道炎による発熱、頭痛、また小さなお子様の発熱時などに適しています。
注意すべき副作用の違い
お薬を安全に使うためには、起こりうる副作用を把握しておくことが大切です。
ロキソニンの副作用
主な副作用として胃腸障害(胃痛や胃潰瘍など)が知られているほか、腎障害、喘息発作の誘発、心血管イベント、出血リスクの上昇などが起こることがあります。
カロナールの副作用
ロキソニンと比較すると全体的に副作用は少ないとされていますが、過量投与などによる「肝障害」には注意が必要です。また、他の総合風邪薬などにも同じ成分(アセトアミノフェン)が含まれていることが多いため、併用による重複・過剰摂取に気をつける必要があります。
鎮痛剤は痛みを和らげる大変便利な医薬品ですが、適した場面で正しく使い分けることで、効果を最大限に引き出しつつ副作用のリスクを減らすことができます。
ロキソニンを優先するケース:
炎症を伴う痛みが急に悪化したときなどに適しています。ただし、胃潰瘍の既往がある方、腎機能が低下している方、凝固系低下(血液が止まりにくい方)、心不全のある方、高齢者の方は注意が必要です。また、妊娠中の方は禁忌(服用してはいけない)となっています。
カロナールを優先するケース:
発熱時、頭痛、お子様や高齢者、ワクチン接種後の発熱時などに広く選ばれます。ロキソニンが使いにくい「胃潰瘍の既往がある方」や「腎障害のある方」でも選択可能です。ただし、肝臓に持病(肝障害)がある方は注意が必要となります。
よくある質問
Q
ロキソニンとカロナールは一緒に飲んでも大丈夫ですか?
それぞれ作用機序が異なるため、医師の指示のもとで併用(あるいは時間をずらして服用)されるケースはあります。しかし、自己判断で同時に服用すると身体への負担や副作用のリスクを予測しにくくなるため、必ず医師や薬剤師に相談してください。
Q
妊娠中に使える痛み止めはどちらですか?
妊娠中の方はロキソニン(NSAIDs)の服用は原則として禁忌(避けるべき)とされています。一方、カロナール(アセトアミノフェン)は比較的安全に使用できるとされていますが、妊娠週数や体調にもよるため、服用前に必ずかかりつけの産婦人科医にご相談ください。
Q
空腹時に服用しても問題ありませんか?
特にロキソニンなどのNSAIDsは胃粘膜を荒らしやすいため、胃腸障害を防ぐためにも「1日3回食後」など、なるべく胃に食べ物が入っている状態での服用が推奨されます。どうしても空腹時に飲む場合は、多めの水で飲むか、胃薬を併用するなどの工夫が必要です。
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