その膝の痛み、本当に手術が必要ですか?変形性膝関節症の診断と最新の治療選択肢
膝の変形度合いを測る「K-L分類」とは?
膝の状態を調べる際、MRIでは骨以外の軟骨や靭帯、半月板が分かりますが、変形の進行度は単純レントゲン写真の「K-L分類(Kellgren-Lawrence分類)」という5段階評価で判断します。
- ● グレード0:正常
- ● グレードI:大きな変化はないが、わずかに軟骨下の骨が密になる
- ● グレードII:膝の上下の骨の隙間が小さくなりはじめ、骨棘(こつきょく)が出てくる
- ● グレードIII:中等度の進行
- ● グレードIV:高度の変形(大きな骨棘、関節隙の狭小化、骨端部の変形など)
ただし、症状の強さとレントゲン上のK-L分類が必ずしも一致しないケースも多々あります。画像だけで判断せず、自覚症状を含めて総合的に評価することが重要です。
主な膝の手術方法とその特徴
膝の代表的な手術には、以下の3つの選択肢があります。
- ● 1. 関節鏡下手(内視鏡手術)軽度の損傷した半月板や靭帯を切除・縫合します。短期入院で済みますが、初期段階でのみ有効です。
- ● 2. 骨切り術脛骨の傾きを矯正し、膝の内側への負担を軽減します。グレードIII〜IVで比較的若い方に適応され、自分の関節を温存できるメリットがあります。
- ● 3. 人工膝関節置換術高度に進行した患者さんに有効で痛みが大幅に改善します。一方、体内への異物挿入や数十年後の再置換リスクといったデメリットもあります。
手術が望ましい状態 vs 手術を急がなくて良い状態
【手術が望ましい状態】
- グレードIII以上で痛みにより日常生活に著しい支障がある
- リハビリなどの保存的療法を6ヶ月以上続けても改善が見られない
- 半月板や腱の完全断裂で機能回復の見込みがない
【手術を急がなくて良い状態】
- グレードI〜IIの軽度〜中等度の段階
- 保存療法(リハビリ等)を十分に行っていない
- 体重コントロールができていない
- グレードIII以上でも自覚症状が軽い
手術を回避するための新たな選択肢「再生医療」
これまでは「薬・リハビリ(保存的療法)」か「手術療法」の2択しかありませんでしたが、第三の選択肢として再生医療が追加されました。
再生医療は、膝関節の炎症を抑えて痛みを軽減し、関節機能を改善させることを目的とした治療法です。擦り減った軟骨や切れた靭帯を完全に元通りにするものではありませんが、適応を見極めることで手術の回避や延期を期待できます。
代表的な3つの再生医療
- ● PRP療法(多血小板血漿療法)ご自身の血液から濃縮した血小板を膝に注射します。成長因子(TGF, VEGF, PDGFなど)が炎症を抑え組織修復を促します。従来のヒアルロン酸注射よりも長期的な抗炎症効果が証明されており、自己由来のため副作用が少ないのが特徴です。
- ● エクソソーム・上清液治療幹細胞を培養する際に発生する成長因子やサイトカインを多く含む液体を使用します。基礎実験レベルで炎症抑制・組織修復が確認されており、今後の展開が期待される先端治療です。
- ● 自家脂肪由来幹細胞治療お腹の皮下脂肪から採取・培養した幹細胞を注入します。強力な抗炎症作用があり、理論上PRP以上の効果が見込まれます。細胞の培養等で費用がかかるため、一般的にPRP療法で十分な効果が得られない場合に使われます。
変形性膝関節症治療の第一歩は、現在の状態を正確に把握することです。「いきなり手術」と諦める前に、まずは専門クリニックで可能性を評価してみませんか?当院では過去のレントゲン・MRI等の画像をお持ちいただければ丁寧な比較・説明を行っております。
よくある質問
他院で「手術しかない」と言われましたが、本当に受けずに済みますか?
変形の程度や症状の強さによりますが、保存療法や最新の再生医療(PRP療法や幹細胞治療)を組み合わせることで、手術を回避できたり時期を延期できたりするケースは多くあります。まずは現在の状態を詳しく分析することが重要です。
再生医療を受ければ、擦り減った軟骨は元通りに再生しますか?
残念ながら、完全にすり減ってしまった軟骨や切れた組織を元通りの状態まで復元させることは現在の技術では困難です。しかし、強力な炎症抑制と組織修復の促進により、痛みを軽減して膝の機能を改善させる効果が高く期待できます。
相談に行く際、過去に通院していた病院の検査データは必要ですか?
はい、過去のレントゲンやMRI画像、診療記録をお持ちいただければ、現在の進行度合いや治療選択肢の比較について、より具体的かつ丁寧にご説明することが可能です。「まずは話を聞いてみたい」という方のご相談も歓迎しております。
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